吹き抜けのある一戸建ては寒い?メリット・デメリットを知ろう!
一戸建ての間取りを考える際、長い時間を過ごすリビングに、吹き抜けをつくるかどうか悩む方が多いのではないでしょうか。採光を確保でき、開放感のあるリビングはとても魅力的ですが、吹き抜けは寒いのではないか?など気になる点もいくつかあります。ここでは、吹き抜けのメリット・デメリットをご紹介します。
吹き抜けを作ると寒い?デメリットとは
吹き抜けによって得られる高い天井と広々とした空間は魅力的ですが、吹き抜けをつくることによって、実際どのようなデメリットがあるのでしょうか。
吹き抜けをつくると暖かい空気が上に流れて冬場の寒さが気になるというイメージをお持ちの方が多いかと思います。これは「コールド・ドラフト現象」といって、暖房をつけていても暖かい空気が天井部に上昇し、冷たい窓に触れることで、暖められた空気が冷やされて下に流れてくるという現象です。このため、冬場は暖房をつけているのに足元が冷たく感じでしまうということが起こります。
また、吹き抜け部分には太陽光を取り入れるために大きな窓をつくることが多く、夏場は日差しが強く部屋全体が暑くなってしまい、冷房の効率が悪くなります。このようなことから夏場・冬場ともに光熱費に影響が出てきてしまうようです。
他にも吹き抜けのデメリットとして《料理中のにおいが気になる》《1階リビングでのテレビの音や生活音が聞こえる》《吹き抜けをつくった分、延床面積が狭くなる》といった点があげられます。
吹き抜けで開放感あふれる空間に!
ここまでデメリットをあげてきましたが、吹き抜けをつくることのメリットを3つあげていきます。
■日中は明るく、夜は月や星空が見えることも
吹き抜け部分に大きな窓をつくることで、太陽の光が降り注ぎ、部屋の奥まで明るく、間取りによってはキッチンの手元なども電気をつけることなく作業できるでしょう。冬場はたっぷり自然光が入ることにより、部屋全体がぽかぽかとした空気に包まれます。窓の位置を工夫すると、夜は月や星空を楽しむことができます。リビングで感じる広々とした空間だけでなく、太陽や空など自然から得られる癒しも吹き抜けの醍醐味でしょう。
■天井が高く、開放感があり実際の間取りよりも広く感じる
吹き抜け部分の天井が高くなることで、リビングで過ごす際は実際の間取りよりも広く感じます。間取りを考えるとき、こぢんまりとしたリビングよりも、広々と開放的な空間をつくりたいという方が多いのではないでしょうか。
とくに都市部など住宅が密集している場所や、土地のスペースが限られた狭小住宅など、プライバシーを確保しつつ、吹き抜けのサイズや位置などを工夫し、より広々とした空間で快適に過ごすことができます。
■1階と2階部分で家族間のつながりがもてる
コミュニケーションがとりやすい吹き抜けには家族とのつながりがもてます。子どもが学校から帰ってきて自分の部屋に直行してしまっても、1階からすぐ呼ぶことができ、いつでも家族の気配を感じることができるでしょう。
デメリットで挙げた《料理中のにおいが気になる》《1階リビングでのテレビの音や生活音が聞こえる》という点も、見方を変えると家族間で円滑なコミュニケーションをとることができます。
最近では在宅ワークが増えて家族と接する時間が長くなってきています。2階廊下部分にワークスペースやプレイルームなどをつくる家庭も増えてきており、1階とのつながりを持たせることで、家族みんなで「おうち時間」を楽しむことが可能です。
吹き抜けのデメリットをカバーするには?
■高断熱・高気密の家づくり
吹き抜けをつくることにより、冷暖房の効率が悪くなり、光熱費が高くなることが心配されます。夏は暑く・冬は寒いという事態を避けるために、高断熱・高気密の家づくりがとても重要になってきます。
住宅の断熱性能は、「外皮平均熱貫流率」(UA値)で表すことができるようです。数値が低いほど断熱性能が高く、各住宅メーカーによっても異なるため、ひとつの目安としてメーカーを選ぶのもおすすめです。省エネという視点でも高断熱・高気密の家づくりは、今後も重要になってくるでしょう。
■シーリングファン・遮光性カーテンを取り付ける
空気を循環させるために天井部にシーリングファンをつけたり、サーキュレーターを導入したりしましょう。吹き抜け部分の窓には遮光性の高いロールスクリーンやカーテンをつけるのもおすすめです。日差しが強い日でも、日光を遮ることができ、寒い日は冷気を遮断できます。手が届かない吹き抜けの窓には、あらかじめコンセントをつけておくことで、電動式のロールスクリーンなどを取り入れることができます。
■窓は複層ガラスがおすすめ
さらに窓の種類にもこだわって家づくりをするのがおすすめです。暑さ・寒さの原因のほとんどは窓によるといわれています。冬場は、室内の暖房熱約6割が窓から逃げ、夏場は約7割近くの熱が窓から入るといわれています。
現在ではペアガラスなど窓の種類がいくつかあり、窓と窓の間に空間を持たせることで一枚ガラスよりも断熱が期待できるようです。吹き抜け部分の窓や、長い時間を過ごすリビングの大きな窓は複層ガラスにすることがおすすめです。
■間取りの工夫
間取りを考える際に、吹き抜け近くにはテレビを置かない、消臭効果のあるクロスを取り入れる、吹き抜けからキッチンを少し離れた位置にすることで《料理中のにおいが気になる》《1階リビングでのテレビの音や生活音が聞こえる》といったデメリットをカバーできます。
また、吹き抜けをつくることによって2階部分の面積が狭くなるため、あまり大きくとりすぎないように家全体のバランスを考えながら、吹き抜けのサイズを調整するようにしましょう。
また、最近では吹き抜けのあるリビングに階段を設ける間取りも人気です。吹き抜けと、リビング階段を組み合わせることで家全体に一体感がうまれます。注文住宅で吹き抜けを取り入れる際は、しっかりと間取りの要望をまとめて、プロの設計士と一緒に考えるようにしましょう。
リビングや各部屋、水回りなどが個々に独立していた昔の家づくりから変化し、近年の住宅では家全体のつながりをもたせる間取りが人気です。断熱性能を重視している住宅メーカーが多く、吹き抜けを取り入れても寒さを気にせず、室内の温度に左右されない家づくりが実現可能になってきています。おうち時間が増え、明るく開放感があるリビングで家族みんなが快適に過ごすために、吹き抜けを取り入れてみてはいかがでしょうか。