スキップフロアは本当に便利?メリット・デメリットをチェックしよう
スキップフロアという言葉をご存知でしょうか?フロアの活用方式のひとつで、フロアを広く開放的に感じさせるだけでなく、似たような構造の家や部屋が多いなかで、それぞれの個性やセンスが出せる建築様式のひとつです。これから家を建てる方やリフォームを考えている方必見のスキップフロアについて紹介します。
スキップフロアを作るメリット
メリットを話す前に、まだスキップフロアという言葉がピンと来ていない方も多いと思うので、少しスキップフロアがどういったものか説明から入りたいと思います。「スキップ」とは「階段・段差」のことで、「フロア」は「床・階層」を表すようです。
つまり、スキップフロアとは壁やドアを使わずに、階段で2~5段程度床の高さを変えることで、一つの部屋に独立した空間をいくつも作る建築様式のことをいいます。そうすることで、フロアの境目はしっかり感じられる一方、空間的なつながりが生まれ、プライベート感覚を残しつつ家族としての共同性を感じられるというメリットがあります。
そのスペースを大きく広くとる以外にも、子どもの遊び場やパソコンスペース、ミシンなど家事をするスペース、読書やヨガ・体操などの趣味をするスペースなど、ちょっとした広さにも有効で、わざわざ専用の部屋を用意するまでもないスペースを独立した空間に区切るためにも適しているようです。
実際に、飲食店やカフェでもその様式は取り入れられており、少し目線の高さが変わるだけで異なるパーソナル空間が実現し、広く開放的に感じるだけでなく、おしゃれで個性的な印象も備わります。
また、壁や廊下が不要となる分、実際に土地を広く使え、生じた段差は収納スペースとしても利用できるので、大変効率のよい建築様式となっております。その他、吹き抜けとの相性も抜群で、うまく構造すれば、差し込む光が家全体を明るく照らし、抜ける風が家全体を涼しくしてくれるメリットもあるようです。
スキップフロアを作る際の注意点とは
スキップフロアのデメリット
デメリットとしては、まず、維持・掃除が挙げられます。段差があって掃除しづらいだけでなく、表面積も増えるうえに、隅や角も増えるので掃除の手間は増えます。もちろん掃除ロボットは不向きです。
また、暖冷房で光熱費が高くなる可能性もあります。しかし、日当たり・風通しがよく、点けたり消したりする回数も減るため、効率よく調整できるという意見も見られ一概にはいえません。
その他、完全なるプライバシーの確保が難しいだけでなく、音や臭いが筒抜けであるという点や段差が多く、バリアフリーの観点から逆行しているため、足の悪い人やご年配の人には不向きであるという点、壁が少ない分、耐震性が落ちる点、施工費用がかかるという点が挙げられます。
スキップフロアの注意点
また、デメリットのほかに、いくつかの注意点もあります。もっとも念頭に置かなければならないのは、建築会社を選ぶという点です。そもそも技術的に請け負えない会社が存在するだけでなく、スキップフロアの建築に経験豊富な会社を選ぶよう注意しましょう。
段差ひとつで印象は大きく変わるため、イメージの共有は必須なうえ、経験豊富な担当であれば複雑となる設計の相談に乗ってくれるだけでなく、光や空気の入り方、プライバシーの確保の仕方、耐震性の観点、費用の抑え方などプロ目線のアドバイスももらえます。
さらには、模型や実例写真などで感覚もつかめ、精度の高い施工ができます。その他、自治体によってはスキップフロアも階層ととらえ、固定資産税が上がるケースもあるので注意しましょう。そして、子どもが成長すること、自分たちが高齢になって足腰が悪くなることも考慮に入れ、長い目で見た設計にすることにも注意が必要です。
スキップフロアを作るのがおすすめの人とは
このように、スキップフロアは空間を横でなく縦に捉えることで、限りある土地の広さを広く感じさせてくれます。そして空間に変化をもたらし、単調なフロアにメリハリを与えてくれる点においても、現代の住宅事情に合っている建築様式です。一方で、その構造は緻密さを要求し、工夫次第で快適な空間にも、目算が甘ければその逆にもなり得ます。
以上のことから、スキップフロアに向いている人は、センスがよい人、設計や配置を考えるのが好きな人、傾斜やデッドスペースのある傾斜地や狭小地に住んでいる人、子どもを見ながら家事や在宅ワークなどをしたい人、なにより家族の時間を大事にしたい人に向いています。
ちょっとした空間を子どもにとっては秘密基地のような魅力的な空間に、大人にとってはおしゃれな隠れ家的な空間にする可能性を秘めるスキップフロア。先に述べたような難しいこともありますが、まずは体験談や実例画像を見てみたり、詳しい専門家に相談してみたりしてはいかがでしょうか?