購入前に知りたい!木造の戸建て住宅は本当に地震・火事に強いの?
オーガニックや自然素材が注目されている昨今で、衣・食・住のうちとくに「住」において、いまだその比重は軽いように思います。ハウスダストなどによるアレルギー症状が目立つ現代で、化学薬品などの使用も抑えられ、リラックス効果もある木造住宅が、本当に地震や火事に弱いのかを、今回は説明します。
木造住宅は地震に弱いの?
「木造住宅は地震に弱い」そんな印象を抱いている人も少なくないのではないでしょうか?長い年月を経た今もなお、変わらず現存している日本各地の寺社仏閣からもわかるように、実は、木造建築は地震に弱いどころか、むしろとても強いのです。その理由は大きく分けて3つあります。では、順に説明します。
1つ目、「軽さ」
地震の際に発生する振動エネルギーは、建物の重さに比例し、重い建物ほど大きくなるようです。したがって、鉄やコンクリートに比べて木材は軽いため、振動エネルギーは小さくなります。
2つ目、「素材の性質」
鉄やコンクリートはある一定以上の力で突然破壊されてしまいます。一方で木材は変形に強く、曲げの力や圧縮の力、引っ張られる力に対する耐久力があり、ある程度の変形に対し復元する能力が備わっているようです。
3つ目、「技術」
宮大工をはじめ、古来より伝わる日本の大工の建築技術は、世界でも類を見ないほど高等なものとなっております。なかには、釘を1つも使用せず、木を組むことで建築された建物もあります。その技術の粋を駆使した建築物は、力を分散し、逃がすようバランスよく設計・構造されているのです。
欧米やヨーロッパに比べ、遥かに地震の多い地震大国日本において、長らく木造住宅が主流だった訳は以上の理由があったのです。しかし、注意しなくてはならないことは、免震・制震の技術を持つメーカーであるのかハウスメーカーや工務店に確認する必要があるということになります。また、その際には、耐震レベルを表す耐震等級がいくつかも尋ねてみましょう。
木造住宅はすぐに燃える?
続いて、火災について説明します。「震災はわかったけど、木なんだからさすがに火災は…」と思う方も多いと思います。結論として、木造住宅は火災にも強いのです。キーワードは「火には弱いが火災に強い」です。では、説明します。
倒壊
まず、火災において何よりも怖いのは、燃焼による倒壊です。下敷きになったり、通路をふさがれて逃げ遅れたりすることも多いといいます。木造住宅において、強い火にさらされると木材は当然燃えます。
どんどんと燃えていき、表面が炭化すると燃焼は突然遅くなるようです。これは、木材の表面が炭化層となり、酸素を遮断するためです。焚き火で長く火を維持するために、太い木の枝を入れて持続させるのと同じ原理となります。その結果、木材は長い間強度を維持できるのです。
さらには、塗料の漆喰は防火性に優れ、断熱材として使われる炭化コルクも難燃性であり、それらを組み合わせた漆喰塗り炭化コルクウォールは30分防火構造・45分準耐火構造という国交大臣の認定を取得しており、木造住宅の防火性を高めています。
有毒ガス
火災で怖いのは、一酸化炭素などの有毒ガスも挙げられます。鉄骨・コンクリート住宅においてしばしば使用される合成化学製品は、燃焼することでさまざまなガスを発生させるようです。
断熱材のウレタンは青酸ガスを、ポリウレタンはシアン化水素を、塩化ビニルはダイオキシンを発生させます。一方で、漆喰や炭化コルクは自然素材なので燃焼しても有毒ガスを発生させません。
木造住宅でも充分に安心・安全な住まいが実現可能
昨今において、安心・安全で快適な住まいを実現するためには、素材の点も気を付けなければなりません。シックハウス症候群をはじめ、ハウスダストや菌・動物性アレルゲン、ホルムアルデヒドやトルエン、キシレンなどといった化学物質を気にする必要があります。その点においても、自然素材が中心の木造住宅は有利になります。
それだけでなく、木材は、夏には湿気を吸い、冬には湿気を吐き出すようです。その結果、年中、人にとって快適な湿度を調節してくれます。さらには、木の主成分自体が熱を伝えづらい性質を持つだけでなく、細胞間にある空気が断熱・遮熱効果をもたらします。その結果、夏は涼しく、冬は暖かいといった、快適な気温を維持しやすい効果もあるようです。
また、精神的な部分においても、木材の匂いや質感、視覚に作用する効果も人に安心感を与えてくれる効果もあるといわれています。
すべての住宅にいえることですが、時が経てば自然と耐久力は衰えます。木材は腐食し、鉄なら錆が付き、コンクリートならヒビが入るようです。正しくメンテナンスをすることが、何よりの安全対策と思います。家とは、人生で一番高い買い物であり、何十年と住むものです。熟考を重ね、後悔のない選択となるようお祈りします。